コラム

中小企業診断士が語る!知れば得するノウハウ集
松平 竹央

皆さま、こんにちは。一般社団法人城西コンサルタントグループ(JCG)の松平です。

今回(第19回)は、これまでご紹介してきました中小企業支援施策や補助金を振り返りつつ、最近の動向や新たな補助金についてご紹介いたします。

Vol.19 最近の中小企業支援策・補助金の動向

1.経営革新計画について

経営革新計画につきましては、本コラムの第4回でご紹介しました。第4回では、経営革新計画は、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」を根拠法とする中小企業支援策である、とお伝えしています。

その後、「中小企業等経営強化法」が平成28年7月1日に施行され、現時点では経営革新計画の根拠法はこの「中小企業等経営強化法」となっています。
とはいえ、制度自体は変わっていませんのでご安心ください。経営革新計画の制度はとても安定しており、制度が変更になっていないかといったことを心配する必要がほとんどありません。

ここ数年に公募されております、「ものづくり補助金」においては経営革新計画の承認を取得しておきますと審査において有利な扱い(加点対象)にされています。
また、東京都の「市場開拓助成金」については経営革新計画の承認を取得しておきますと、この助成金の申請者資格を得ることができます。
経営革新計画の承認申請の受付は1年中行われていますので、補助金・助成金とは異なり公募の時期を心配する必要がありません。

2.経営力向上計画について

経営力向上計画は、昨年の7月に始まったばかりの制度です。本コラムの第9回、第12回でご紹介しました。
平成29年4月1日以降は、経営力向上計画の認定取得に伴う支援施策の強化が行われました。具体的には、税制面で2つ強化されました。

1つめは、固定資産税の軽減措置の対象となる購入品の種類が増えたことです。従来は機械装置だけが対象でしたが、現在は機械装置に加えて、工具、器具備品、建物附属設備が対象となっています。
2つめは、「中小企業経営強化税制」と呼ばれる措置が追加されたことです。これは、法人税(個人事業の場合には所得税)について、①即時償却、②取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除のいずれかを選択適用できるというものです。

経営力向上計画の制度の変更点等を整理しますと、次の表のようになります。

  これまで 現在の状況
認定取得の
メリット
①固定資産税の軽減(対象:機械装置のみ)
②金融支援(低利融資・信用保証)
③補助金申請時の優遇
①固定資産税の軽減(対象:機械装置、工具、器具備品、建物附属設備)
②中小企業経営強化税制
③金融支援(低利融資・信用保証)
④補助金申請時の優遇
申請のための
手引書(説明書)
①経営力向上計画策定の手引き ②経営力向上計画策定の手引き
③税制措置・金融支援活用の手引き
参照すべき指針類 基本方針
事業分野別指針
基本方針
事業分野別指針

支援施策の拡充が図られましたがその一方で、支援施策を利用可能とするための手続きがとても複雑・煩雑になってしまった印象です。  
従いまして、経営力向上計画の制度を活用する場合、特に税制措置の活用を検討されている場合には、早めに「よろず支援拠点」などの公的な支援機関と相談されますことをお勧め致します。

なお、経営力向上計画の認定申請の受付は、経営革新計画と同様に1年中行われています。
また、経営力向上計画の認定取得も、「ものづくり補助金」の審査において有利な扱い(加点対象)にされています。

3.小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金につきましては、本コラムの第3回、第5回でご紹介しました。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓等の取り組みに対する支援を行うものですので、本コラムの読者の皆様と直接または間接的に関わりの大きな補助金であると思われます。

平成29年4月14日から5月31日にかけて、追加公募が行われました。これは平成28年補正予算によるものです。
今回の追加公募では、制度面で大きく変わった点が1つあります。
それは、事業承継をこれまで以上に強く促進するものとなったことです。
今回の追加公募では、小規模事業者の円滑な事業承継を後押しするため、代表者が60歳以上の場合は「事業承継診断票」と呼ばれる書類の提出が求められ、後継者候補が中心となって取り組む事業について重点的に支援するものとされました。

この「事業承継診断票」は、地域の商工会議所が事業者に確認しながら作成・交付するものです。この診断票の内容に基づいて、事業承継が課題となる事業者に対して早めに対策を検討することを促し、必要に応じて専門家や事業引継ぎ支援センターなどの支援機関との相談を推奨するものとなっています。

4.IT導入補助金

IT導入補助金につきましては、本コラムの第16回でご紹介しました。
本コラムが公開される5月下旬は、今回のIT導入補助金の公募期間中です。今回の公募期間は平成29年6月30日(金)までですので申請される方は、お早めに準備されることをお勧め致します。

5.事業承継補助金

事業承継補助金は、平成29年度に初めて導入され、5月8日に公募が始まりました。公募期間は6月初旬(6月2日または3日)までです。  
この事業承継補助金は、「創業補助金」と同じ事業(創業・事業承継支援事業)の中で取り扱われる補助金ですが、本コラムの読者の皆様と関わりが大きいであろう、「事業承継補助金」に絞ってお伝えいたします。

次の表に、事業承継補助金の概要を整理します。

項目 説明
目的 事業承継を契機として経営革新や事業転換を行う中小企業に対して、それに要する経費の一部を助成することにより、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させる
補助上限額 200万円
補助率 2/3
補助対象経費 本補助事業に必要な官公庁への申請書類作成等に係る経費、店舗等借入費、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、在庫処分費、解体費及び処分費、原状回復費、委託費
提出書類 事業計画書、補足説明資料、住民票、認定経営革新等支援機関による確認書、応募資格を有していることを証明する後継者の書類ほか
事業期間 交付決定日(8月頃)から最長で平成29年12月31日まで

事業承継補助金の申請、審査、事業実施の流れは次の図のようになります。

事業承継補助金の申請、審査、事業実施のフロー図

我が国の多くの中小企業においては事業承継が喫緊の課題となる中、政府はこれまでの「第二創業促進補助金」の仕組みを見直し、事業承継を促進させることに特化した「事業承継補助金」を打ち出しました。  
事業承継を契機として取り組む経営革新や事業転換に伴う経費が広く補助対象とされていることがこの補助金の特徴となっています。

先に紹介しました、小規模事業者持続化補助金が現経営者に対して事業承継の課題認識を喚起するレベルのものであるのに対して、この事業承継補助金では、具体的に後継者候補がいることを応募資格にしており、事業承継の促進についてより踏み込んだものとなっています。
事業承継後の新代表者(後継者)の要件としては、次の①~③のいずれかに該当する者であることと定めています。

① 経営に関する職務経験を有している者(次のいずれかに該当する者)
・対象企業の役員として3年以上の経験を有する者
・他の企業の経営者として3年以上の経験を有する者
・個人事業主として3年以上の経験を有する者

② 同業種に関する知識などを有している者(次のいずれかに該当する者)
・対象企業に継続して6年以上勤めた経験を有する者
・対象企業と同じ業種に通算して6年以上勤めた経験を有する者

③ 創業・承継に資する下記の研修等を受講した者
・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けた者
・地域創業促進支援事業を受けた者
・中小企業大学校の実施する経営者
・後継者向けの研修等を受けた者(※補助事業期間内に受講する場合を含む)

なお、この事業承継補助金を申請するに際しては、事前に認定支援機関と相談し、事業計画等に関する確認書を認定支援機関から取得しておく必要がありますのでご注意ください。 認定支援機関につきましては、本コラムの第12回でも述べていますのでご参考にしてください。

今回の事業承継補助金の公募期間は1ケ月弱と短く、特に新代表者(後継者)の要件を満たすための準備については時間的に困難であったのではないかというのが私の印象です。
しかし、この事業承継補助金は今後も公募が行われる可能性があります。今回の公募には間に合わなかった場合でも、次回以降を視野に事業承継の準備に着手されてはいかがかと思います。

6.その他の補助金

政府や自治体は、毎年のように新たな補助金・助成金を打ち出しています。
例えば、経産省の「先進コンテンツ技術による地域活性化促進事業費補助金」(公募期間:平成29年5月9日~5月25日)は、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)とドローン、AI等の先進的なコンテンツ制作技術や表現技術を用いて、地域に関する製品・サービス、観光、スポーツ等の魅力をプロモーションし、地域活性化に資するコンテンツ制作等を行い、コンテンツ産業の振興と地域経済活性化を図ることを目的としたものです。これは平成29年に初めて登場した補助金です。ドローン等を用いたビジネスは、不動産関連の事業者の方が新事業として取り組んでおられることも多く、こうした補助金も本コラムの読者の皆様にとって利用価値が高いものであるかも知れません。

東京都では、「革新的サービスの事業化支援助成金」を新設しました。
しかしながらご自身でこうした情報に目を光らせておくことは容易ではないと思われます。そこで、商工会議所や金融機関の方などに、自社で利用できそうな補助金・助成金や支援施策を紹介してもらえるように依頼しておくことをお勧め致します。

7.最後に

私たち城西コンサルタントグループがお伝えする本コラムは今回が最終回となります。
これまで本コラムをお読みいただきましてありがとうございました。
本コラムの読者の皆様が、今後益々皆様の事業を発展していかれますことを強く祈念しております。

 

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